●福井県立歴史博物&越前和紙の里紀行(2-2)◆神奈川 小滝晴子(全国歴史研究会本部正会員)*2018-12-04

越前和紙の里 訪問

福井県立歴史博物館「激動の幕末展」に同行した、水仙タクシーの女性ドライバー 柳原さんと仲良くなり、心得た彼女の運転にて、懐かしい田園風景にもうひと刷毛、歴史の風情を塗り込んだような越前和紙の里の集落に辿り着いた。

パピルス館というお洒落な名称だが、手作業による古き伝統の和漉き作業を伝え、観光客も実践できる場には、アメリカ人の彼女を伴い流暢な英語で解説する若い世代の観光客もいた。

私は印刷屋に生まれ、父母長女ともども人類のなかでも手先仕事の器用な家族に育ったのだが、私自身は残念ながら、超不器用である。まず、小学校の初工作=折紙で風車を作る作業に全くついて行けず、泣き泣き帰った、苦い想い出がある。

故に、ではないのだが、体験するに足る時間も無かった故に、講師の説明を聞いて感心し、ここでしか入手できない和紙製品をしこたま買い込むだけに終わった。

詳細は、是非、現場を訪問して味わって戴きたいが、筆者の関心事は何よりも、1300年の史的「無形民俗文化財」保存の功績について、である。

当日の講師・眞柄昂史先生が江戸時代の大福帳を見せて下さったが、その保存状態の良さは言うまでもなく、当時の商人の生活万端、日常の全てを物語っている。

「心配なのは、売れ行きが悪く,生活が立ち行かなることです……」と、嘆かれた。

和紙工芸に携わる家は30軒ほどある由だが、和紙のみならず、現在のIT文化の波はどう見ても、津波よろしく、全ての生活環境を飲み込み、『従うものを? に乗せ、逆らう物を引いてゆく』状況であり、書籍文化もほぼ、滅びゆく過程にあるのだろう。

和紙に筆墨の古書写は筆者・内容とも稀少価値をも伴い、未だに市場価値があるが、活版印刷・オフセット・ガリ版刷り製品などは、今や滅亡の過程にあると思われる。

AI職にある長男に、『パソコンに保存された記録は「地震・雷・風水害・津波・火事」などの自然災害に一瞬消滅の危機があるのではないか?』と問うた所、「全世界に保存する設備が連携しているから心配ない!」と、無造作に答えが返ってきた。

然し、歴史の証明が無い近代文化であるゆえに、筆者の疑心暗鬼は解消しない。

もちろん、人類の自殺行為=原爆などで砕け散ってしまえば全て論外だが、皮肉にも、最も、長寿の可能性があるのは、石碑など、古拙文化ではないのだろうか?

次いで、人類の知恵として、保存の場を用意した古和紙に筆墨が可能性として上位にあるのではないか???

全ての証明はこれから歩む賢明なる人類・未来の歴史的展開を俟つまでであ。(了)

感  想